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わたしの富士山写真コンテスト


「松原慕情」 久保山 佳明
「松原慕情」 久保山 佳明
富士と三保の松原。
定番である。
富士写真と言えば、数十各所に富士撮影ポイントがあり“富士オヤジ”がいつもそこに団子のように固まっている。
だから通年大量に同じ写真が量産される。
資源の無駄である。
そういった“資源の無駄富士写真”もまたれっきとした富士写真であることにかわりはない。
いやむしろその定番富士写真こそが富士写真の王国なのだ。
この作者はそういった王国に安住している“鋳型写真師”なわけだが、彼が“定番”を一歩抜け出したのは、風景をさらに定番化する努力をしたということだ。現代の貫一お宮のごとく端っこにカップルを配置している。
この“わざとらしさ”が功を奏して定番は絵はがき的本番となっている。最優秀賞の少年と異なり、カップルの佇まいはいかにも演出じみて不自然だが、むしろこれが自然だったら“絵はがき”にまでに昇華しないわけだ。そういう意味では写真とは不思議な生き物である。
講評 審査  写真家 藤原新也
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